経営者の役員報酬の相場はいくら?決め方を解説【2026年】
この記事の要点
- 小規模企業は月額30万〜60万円程度、中規模企業は月額60万〜100万円程度が一つの水準
- 役員報酬は事業年度開始から3カ月以内に決定し期中変更は原則不可
- 報酬額は税負担と社会保険料のバランスを踏まえ専門家に相談して決めることが重要
経営者の役員報酬、相場はどれくらいか
経営者の役員報酬は、従業員数10人未満の小規模企業で月額30万〜60万円程度、従業員数50人前後の中小企業では月額80万〜150万円程度が一つの水準とされています。ただし業種・利益水準・会社の成長段階によって差が大きく、単一の正解額は存在しません。
役員報酬は「会社の利益からいくら残すか」と「個人の生活費としていくら必要か」の両方のバランスで決まるものです。経営者の家庭では、この金額が家計の土台そのものになるため、専業主婦の立場から見ても無関係な話ではありません。
なぜ相場に幅があるのか
役員報酬の金額は、以下のような要素で変わります。
- 会社の売上規模と利益水準
- 従業員数と人件費全体のバランス
- 業種(製造業・サービス業・IT系など)
- 創業からの年数と資金繰りの余裕度
- 経営者自身の生活コスト(住宅ローン、教育費など)
創業初期の会社では、役員報酬を月額20万円程度に抑え、利益が出た分を事業に再投資するケースがあります。一方で、業歴が長く利益が安定している会社では、月額100万円を超える水準に設定されるケースもあります。
従業員数・業種別に見る目安の水準
中小企業庁や各種統計を参考にすると、企業規模別におおよその傾向が見えてきます。ここでは規模別の目安として、小規模(従業員数10人未満)・中規模(従業員数10〜50人程度)・やや大きめ(従業員数50人以上)の3区分で整理します。
小規模企業(従業員数10人未満)の水準
月額30万〜60万円程度が一つの水準です。設立間もない会社では、経営者自身が営業や現場作業を兼務することが多く、報酬よりも事業資金の確保を優先する判断がなされることがあります。
中規模企業(従業員数10〜50人程度)の水準
月額60万〜100万円程度になることが多いとされています。従業員数が増えるにつれて経営者の責任範囲も広がるため、報酬水準も段階的に引き上げられる傾向があります。
やや大きめの企業(従業員数50人以上)の水準
月額100万〜150万円程度、あるいはそれ以上となるケースもあります。ここまで来ると、報酬額の決定には税理士や社会保険労務士など専門家の助言を踏まえることが一般的です。
なお、これらの数値はあくまで一般的な傾向であり、業種や地域、会社の財務状況によって上下します。自社の適正額を判断する際は、具体的な決算数値をもとに専門家へ相談することをおすすめします。

対談の続きは、公式YouTubeで見られます。経営者が家族や原点について語った回を公開しています。
対談をYouTubeで見る →役員報酬を決める際の手順
役員報酬の決定には、法人税法上のルールが関わってきます。主な手順は次の通りです。
- 事業年度開始から3カ月以内に金額を決定する
- 原則として期中は金額を変更しない(定期同額給与の要件)
- 株主総会または取締役会で決議し議事録を残す
- 決定した金額を社会保険・源泉徴収の計算に反映する
- 翌期以降、業績に応じて見直しを検討する
この手続きを誤ると、損金として認められない部分が生じ、法人税の負担が増えることがあります。詳細な要件は国税庁の公表情報で確認できます。
失敗しやすいケース
役員報酬の決定でよくある失敗には、次のようなケースがあります。
- 期中に業績が良くなったからと報酬を増額し、損金不算入になった
- 生活費の見積もりが甘く、報酬を低く設定しすぎて家計が圧迫された
- 社会保険料の負担増を考慮せずに報酬額を決めてしまった
- 配偶者を役員にする際、実態のない役員報酬として指摘を受けた
特に、期中の増額や実態を伴わない役員就任は税務上のリスクが高い部分です。会社の規模にかかわらず、決定前に税理士へ相談しておくことで、こうした失敗を避けやすくなります。
役員報酬と税負担・社会保険料のバランス
役員報酬を高く設定すると、所得税・住民税・社会保険料の負担も比例して増えます。一方、低く設定しすぎると、法人に利益が残り法人税の負担が増える場合があります。このバランスを取ることが、役員報酬額を決めるうえでの実務上のポイントです。
一般的には、法人に残す利益と個人の手取り額の両方を試算したうえで、年に一度、決算のタイミングで見直す会社が多いとされています。従業員数や業種が同じであっても、借入金の返済状況や設備投資の予定によって最適な金額は変わってくるため、固定的な正解はないという前提で考える必要があります。
家計の視点から見た役員報酬の考え方
経営者家庭にとって、役員報酬は会社員でいう「給与」にあたりますが、会社の業績によって変動しうる点が異なります。住宅ローンの審査や教育費の計画を立てる際にも、役員報酬の水準や継続性が影響することがあります。
専業主婦の立場から家計を管理する場合、役員報酬が業績次第で変わりうることを前提に、生活防衛資金を多めに確保しておくといった工夫が考えられます。これは、経営者の家族が人生設計を考えるうえでも共通して意識されているテーマの一つです。
実際、「エプロンとスーツ」の対談でも、経営者の暮らしぶりや家族との向き合い方が語られることがあり、報酬額そのものよりも、収入の波とどう付き合うかという視点が印象に残るケースがあります。興味のある方は、公式YouTubeで公開されている対談動画もあわせてご覧ください。
まとめ:相場はあくまで参考値として捉える
経営者の役員報酬は、従業員数や業種によって月額30万〜150万円程度まで幅広く分布しており、唯一絶対の正解額はありません。自社に合った金額を判断するには、決算数値や資金繰りの状況を踏まえ、税理士などの専門家に相談しながら、事業年度開始前に慎重に決定することが重要です。
中小企業の経営指標については中小企業庁でも関連資料が公開されているため、自社の立ち位置を確認する参考にできます。最終的な金額決定や税務上の判断は、必ず専門家の助言を踏まえたうえで行うようにしてください。
よくある質問
- Q. 役員報酬の相場に法律で決まった金額はありますか?
- A. 法律で定められた固定額はありません。会社の規模や利益水準、業種によって水準は大きく異なり、月額30万円台から150万円以上まで幅があります。自社に合った金額は、決算数値をもとに税理士などの専門家と相談して決めることが一般的です。
- Q. 役員報酬は年の途中で変更できますか?
- A. 原則として期中の変更は認められておらず、変更すると損金不算入になる部分が生じることがあります。詳細な要件は国税庁の公表情報で確認できますが、具体的な判断は税理士への相談をおすすめします。
- Q. 役員報酬を低く抑えると家計にどんな影響がありますか?
- A. 法人の利益を増やせる一方、個人の生活費が不足しやすくなります。特に住宅ローンの審査や教育費の計画に影響することがあるため、生活防衛資金を多めに確保しておく工夫が考えられます。