
経営者とは役員のこと?違いと法的な定義を徹底解説
この記事の要点
- 経営者は経営方針の決定者を指し、役員は会社法で定められた取締役等を指す。
- 役員は委任契約であるため、原則として雇用保険(失業保険)の対象外となる。
- 役員報酬は期中に自由に変更できず、ルール違反は追徴課税のリスクがある。
経営者と役員は、日常会話では同じ意味で使われがちですが、法的な定義や責任の範囲において明確な違いがあります。結論から言うと、経営者とは「企業全体の経営方針を決定し、最終的な責任を負う人」の総称であり、役員とは「会社法などで定められた、取締役や監査役などの特定の役職に就いている人」を指します。
この記事では、言葉の定義の違いから、万が一の失敗例、そして経営者の家族が知っておくべき実務的なポイントまでを詳しく解説します。
経営者と役員の違いとは?基本の定義を整理
「主人が新しく役員に就任することになったけれど、経営者とは何が違うのだろう」と疑問に思う配偶者の方も少なくありません。まずは、それぞれの定義と違いを整理しましょう。
1. 経営者とは(実務上の総称)
経営者とは、会社の経営権を持ち、事業の方向性を決定する人のことです。法律上の役職名ではなく、一般的には「社長」や「代表取締役」、あるいは個人事業主なども含めた「事業を動かすトップ」全般を指す言葉として使われます。
2. 役員とは(会社法上の役職)
役員とは、中小企業庁などが示すガイドラインや会社法において、明確に定義された役職です。具体的には以下の3つを指します。
- 取締役: 会社の意思決定を行い、業務執行を監督する
- 会計参与: 取締役と共同して計算書類等を作成する
- 監査役: 取締役の職務執行を監査する
「夫が役員になったからといって、必ずしも会社のすべての決定権を持つ経営者(代表取締役)であるとは限らない」という点を理解しておくことが大切です。
経営者と役員における「3つの決定的な違い」
経営者と一般の役員には、実務や法律の面で3つの大きな違いがあります。
1. 負うべき責任の重さと範囲
代表権を持つ経営者は、会社の債務に対して個人保証(連帯保証)を入れているケースが非常に多いです。一方で、代表権を持たない平役員(取締役など)の場合、原則として会社の借入金に対して個人保証を負うことはありません。
ただし、役員としての任務を怠り会社に重大な損害を与えた場合は、会社法上の損害賠償責任を問われるリスクがあります。
2. 報酬の決め方と税務上の扱い
役員の報酬は「役員報酬」と呼ばれ、従業員の給与とは税務上の扱いが大きく異なります。役員報酬は原則として事業年度の途中で自由に変更することができません。毎月同額を支給する「定期同額給与」などのルールを守らなければ、会社の経費(損金)として認められないため注意が必要です。詳しい税務ルールについては、国税庁の公式情報を確認してください。
3. 任期と地位の安定性
従業員には雇用契約が適用されるため、簡単に解雇されることはありません。しかし、役員(経営者を含む)は会社との契約が「委任契約」となります。そのため、株主総会の決議によっていつでも解任されるリスクがあります。また、取締役の任期は原則2年(非公開会社では最長10年まで延長可能)と定められており、定期的な再任手続きが必要です。
対談の続きは、公式YouTubeで見られます。経営者が家族や原点について語った回を公開しています。
対談をYouTubeで見る →役員就任時によくある2つの失敗パターン
実務において、経営者や役員の定義・ルールを曖昧にしたことでトラブルに発展するケースがあります。
失敗例①:名ばかり役員で失業保険が受け取れなくなった
「名前だけで実態は働いていないから大丈夫」と、妻や親族を非常勤取締役にするケースがあります。しかし、役員登記されている人物は、原則として「労働者」とはみなされません。そのため、会社を退職した際、ハローワークで失業保険(雇用保険の基本手当)を受給しようとしても、「役員であった期間は被保険者期間として認められない」と判断され、受給できないトラブルが発生することがあります。
役員に就任する際は、将来の雇用保険や社会保険への影響を必ず確認しましょう。
失敗例②:役員報酬を期中に変更して追徴課税を受けた
会社の業績が予想以上に良かったため、年度の途中で役員報酬を月額50万円から80万円へと増額したケースです。これは税務調査において「定期同額給与」のルールに反すると指摘され、増額分の30万円(年間で360万円程度)が損金として認められず、会社に多額の法人税の追徴課税が発生してしまいました。役員報酬の変更は、事業年度開始からおおよそ3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。
経営者の家族として知っておきたい「お金と暮らし」のリアル
経営者や役員の妻・家族は、サラリーマン家庭とは異なるライフプランの設計が求められます。対談メディア「エプロンとスーツ」(運営:無限開拓株式会社)では、専業主婦の聞き手が、経営者の事業自慢ではなく、その人柄や家族、これまでの人生の歩みについて深く問いかける対談を行っています。
対談動画の中でも、多くの経営者夫妻が以下のようなリアルな葛藤を抱えていることが語られています。
「夫が突然『役員になってくれ』と言ってきたけれど、リスクが分からなくて不安だった」
このような配偶者のリアルな声に対して、専門家は「保証人になっていないか、役員としての実態があるかを事前に夫婦で話し合うべき」と解説しています。公式YouTubeチャンネルでは、こうした経営者ファミリーの日常や、孤独との向き合い方に関するヒントが多数発信されています。
まとめ:定義を正しく理解し、家族で備える
経営者と役員は、言葉の響きは似ていても、法的な責任や税務上のルール、そして家族に及ぼす影響が大きく異なります。夫やご自身が役員に就任する際は、単なる肩書きとして喜ぶだけでなく、任期や個人保証の有無、税務上の注意点を事前に整理しておくことが大切です。
まずは信頼できる税理士や司法書士などの専門家に相談し、リスクのない形で一歩を踏み出しましょう。
よくある質問
- Q. 代表取締役と役員の違いは何ですか?
- A. 役員(取締役・監査役など)の中で、会社を代表する権限(代表権)を持つ特別な役職が「代表取締役」です。代表取締役は経営のトップ(経営者)となります。
- Q. 妻を非常勤役員にするメリットとデメリットは?
- A. メリットは、業務実態に応じて役員報酬を支払うことで世帯所得を分散し、節税効果が得られる点です。デメリットは、雇用保険に加入できず、将来失業保険を受け取れなくなる点です。
- Q. 役員報酬はいつでも変更できますか?
- A. 原則としていつでも自由に変更することはできません。税務上の経費として認めてもらうためには、事業年度開始からおおよそ3ヶ月以内に改定手続きを行う必要があります。



